我がグループの初代Bは病床に伏せていた。肺がんである。若いころの雌雄鑑別師の影響か
いや・・むしろ若いころからのチェーンスモーカーだったことが祟ったのかもしれない。
その年、次男のSは首都圏に販路を求めて出て行って週末にしか見舞いに来ない。
病院の同じ階には同年代で新発田の土建屋の社長や建設会社の社長が入院していて
同じ病気を抱える身としてちょいちょい顔を出してくれた。
生来明るい性格で誰に対しても平等に接するBは病院スタッフからも人気があったようだ。
ある週末のことSが首都圏からの帰り見舞いに行くと・・・
「おれ・・看護婦たちから「会長さん」と呼ばれているんだ。」とちょっと照れくさそうにはにかんだ。
「まあそんなことどうでもいいから早く病気治せよ・・・」とS。
Sの帰りぎわ B「俺はもうそろそろ…だめ(死ぬ)かもしれないな・・・」というも
しばらく沈黙して気を取り直したように明るさを装って「じゃあな。また来週な…社長 」
その数か月後Bは鬼籍の入った 合掌
一句 涼しさは女房の留守に仰ぐ月 志ん笑